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第5話 ファスナーを降ろして
僕は佐山と付き合ってから、下着の趣味が変わった。
以前はボクサータイプのトランクスを履いていたのだけど、今は違う。今履いてるのは、三角形の布面積が少ないのだ。ビキニブリーフというやつ。しかも色は濃紺か黒。
もちろん、佐山の趣味。あいつがこれを履けと言うんだ。自分は普通のボクサーパンツ履いてるくせに。僕はあいつが何履いてても構わない。下着に好みはない。これはノンケ時代からそうだった(誰も聞いてない)。
このビキニタイプの何が佐山は好きかって言うと……。
「倫、今日もちゃんと履いてるか?」
「な、何言ってる。履いてるに決まってるだろう」
僕がリビングのソファーでゲームしてたりすると、決まってあいつはそう言ってやってくる。断っておくが、いつも僕ばかりが欲求するわけではないからな。
佐山は僕のズボンのファスナーを降ろして、大きな手を滑り込ませる。もちろんすることは一つ、ギターの竿よろしく、僕のあれを撫でまわす。ビキニの上からだ。
「う……ううん……」
ゲームなんかやってられなくなって、僕はコントローラーを置く。ソファーの後ろから両腕を伸ばしてるあいつをこっちに引きずり込むと、今度は僕があいつの首根っこ押さえてキスをせがむ。
そのうちあいつは上手に僕のズボンを脱がしてビキニパンツ一枚にしてしまうんだ。そこにはあそこがパンパンに膨れ上がったものがあって。
でも僕はそんなこと知ったこっちゃない。それどころじゃないんで、佐山の服を脱がそうと格闘しだす。
「倫、テント出来た」
そうなんだ。佐山がこのビキニが好きなのは、このためだ。小さくて伸縮性に富んだこのショーツは、僕のが元気になると、そこがテントみたいになるんだよね。それを眺めていたぶるのがお気に入りなんだ。変態だよ。こいつは。
「遊ぶな! 変態!」
僕がさっさとショーツを脱ぐと凄く残念そうな顔をする。でも、僕はこんな布面積の少ないショーツを本当は履きたくないんだ。それを、佐山が好きだから……履いてやってる。それだけで許して欲しい。
「もう、テント見たろ? 僕も佐山のが見たい」
「俺のテントできんよ?」
阿保か、本当に。
「テントが好きなのはおまえだけだ。僕はテントじゃなくても大丈夫」
「俺はあんたが好きだ」
そう言って、僕に、僕のに頬ずりする佐山。愛しくてたまらない。
「僕も……佐山が好きだ」
同じようにひざを付いて、僕は佐山にキスをする。幸せな休日。ゲームなんかしてる場合じゃない。
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