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番外編 僕とあいつのいちゃバリな日々 5
3日目の朝。その日も誘惑の大過ぎるモーニングビュッフェで朝食を取る。佐山はまるで育ち盛りの高校生みたいな食べっぷりだ。
パイナップルやマンゴーの生ジュースも美味しくて、何度も取りに行ってしまう。
僕らは昨日、ジムにも出かけた。リゾートホテルだからとバカにしていたけれど結構本格的で、長期滞在のお金持ちの人たちが汗を流していた(宿泊者は無料なんだけど、普通の旅行者は遊ぶに忙しくてジムになんか行かないんだよ)。
でも佐山には不評だった。理由は簡単。シャワー室の扉が肩から上と膝から下が見えるハーフタイプで、絶対に2人で入れないからなんだ。
「シャワーの良さがわかってないよな。……いい匂い」
「シャワーは汗を流すとこだよ。あ……こら……」
ということで佐山は部屋のシャワーで僕を抱く。初日はお湯が出なかったけどメンテしてもらって適温が流れている。
バスタブも大きいから、そこでもこいつは絶好調。けど今日はシャワーの気分だったらしい。僕の背中にくっついて両腕を絡ませながら、首から肩に唇を這わせている。
「うん、やっぱりいいな……。もう我慢ならん」
我慢って。おまえが我慢してたとは知らなかったよ。僕はなんだかおかしくなった。
「あれ、何笑ってんだよ。こら、こっち向け」
佐山が僕のあごをグイッと後ろに向け、唇を押し付けてきた。あごにかけた右手に力が入るのと同時に、無遠慮な舌が入り込んでくる。いつものように僕はうっとりと……してたんだけど。
「んんっ! あふっ!」
シャワーがあいつの肩ではねる。水滴と湯気が鼻に入り込んで息ができなくなった。
「ム、無理っ、酸素!」
僕は壁に手をつき、はあはあ喘ぐ。それなのにあいつときたら。
「あ、やめいっ」
「ダメっ。笑った罰。俺の我慢を受け入れろ」
「あっ……っん……」
まあこんな具合。息をする暇もないよ。
だけどもちろん遊んでるばかりじゃない。佐山はここに来てからも、時々ギターをつま弾いている。そんなときは、やっぱりかっこいいって思っちゃうんだよな。
多分僕がそんな顔してるって、あいつわかってるんだ。だからちゃんとそういう時間を作ってる。
内助の功って言えるかな。これは僕の予想だけど2、3曲は確実にできたと思う。よかったよ。とにかく形になるものがあって。
2人で買い物に行ったり、ディスコに行ったり、ホテルの外でも楽しんだ。楽しい時間はどうしてこんなに早く過ぎていくのかな。気がついたらヌサドゥァでの最終日になっていた。
つづく
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