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第1章 熱量 *
柔らかいものがカイの唇に軽く触れ、すぐに離れていった。一旦離れたあと、こんどはしっとりと唇が押し付けられ、下唇を喰むように吸われた。
カイの身体はレイヴィンにしっかり支えられ、キスが段々と深まっていく。身体が熱い。頭の芯がしびれ、激しい鼓動がどくどくと煩い。
息苦しくなってはあっと口を開けると、ぬるりと熱い舌が入り込んできた。ゆっくりと歯列をなぞられ、びっくりして縮こまるカイの舌をゆっくり撫でていく。
こんな舌と舌を絡めるようなキスを、カイは知らない。どうしていいのか分からないのに、触れ合う舌は蕩けるように気持ちいい。レイヴィンの舌先がくすぐるように上顎を撫で、頬の内側をねっとり舐める。頭がぼうっとなりながらも、カイは夢中でレイヴィンに応えた。
ぴちゃぴちゃっと水音をたてカイの口内を弄っていたレイヴィンが、やがて名残り惜しそうに離れていった。二人の間につうっと銀糸が繋がった。
ふうと熱い息を吐き、レイヴィンがカイ抱きしめてこめかみにキスを落とした。
「・・・カイ、嫌か」
少し掠れた声で、レイヴィンが尋ねた。カイは、必死で頭を振った。
「嫌、ではないけど。。こういうのは、慣れてないからっ」
レイヴィンが、ふっと息で笑った気配がした。
「嫌でないなら、俺に任せてみないか。優しくする」
カイは恥ずかしさで顔を燃え上がらせ、レイヴィンにしがみついて頷いた。レイヴィンは力強くカイを抱きかかえると、そのまま勢い良く立ち上がって小屋に入った。
簡素な寝台の上に横たえられ、カイの胸は高なった。熱い手がシャツの中に入り込み、身体中を弄っている。耳の後ろに強く吸いつかれ、ヌルリとした舌が首筋をゆっくり舐め下ろす。
恥ずかしくて堪らないのに、未知の経験に期待と不安でドキドキする。閨の所作がよく分からず、身体を強張らせたままレイヴィンのシャツをぎゅっと握った。
レイヴィンはカイの鎖骨を唇でそっとなぞり、強く弱くキスしながら、ちらりとカイを伺った。
「怖い?」
「ううん、どうして良いか、分からないだけ」
「ふふっ、可愛い」
「ああっ、つ、つよくしちゃ、ダメ・・・!」
胸元をやわやわと撫でたり、揉み込みでいた手が、キュッと胸の尖りを摘んだ。捻ったり、優しく押しつぶしたりされ、ゾクゾクした感覚が広がる。
「レイヴィン、それっダメ・・・。あっ、ああ、何かヘン」
「カイ、気持ちいいのか?」
「わっ、わかんないっ。頭、真っ白になるっ」
がばりとレイヴィンは胸に吸い付き、さらに激しく吸い上げた。もう片方の胸の粒も強く指で弾かれたり、軽く爪を立てられる。身体の奥がジンジン疼き、カイは思わずレイヴィンの頭を抱え込んだ。
「ああ、こっちも苦しそうだな」
「えっ、ええ、そんなとこ。あっ、ああだ、ダメ」
レイヴィンの手が降りてき、カイの股座を緩く撫でた。びくりとカイが身体を震わす。レイヴィンは下履きに手をかけると、下着ごと一気に抜きとった。辛うじて身体に引っかかっていたシャツも取り払われ、カイは一糸まとわぬ肌を晒した。
薄闇の中でレイヴィンの熱に濡れた目が、舐めるようにカイの全身を見つめる。カイは恥ずかしさのあまり、腕で顔を隠した。ゴソゴソと衣擦れの音がして、服を落としたレイヴィンが厚い身体を覆い被せてきた。思わず、カイは声を上げる。
「あっ、はあっ」
「大丈夫、酷いことはしない。俺に愛させてくれ」
レイヴィンが耳元で囁き、熱い息を吹き込む。カイの額、頬、唇の端、顎とキスの雨を降らせながら、レイヴィンの大きな手がカイの男芯を掴んで扱き出した。初めてそんな場所を他人の手で触られ、するどい快感が背筋を駆け上る。密口からトロトロと透明な液が溢れ、ぬちゃぬちゃと恥ずかしい音が響く。熱が下肢にどんどん溜まって苦しい。内腿に力が入り、足先が何度もシーツを蹴った。
「あ、ああっ、レイヴィン。いっ、いい。ああっ」
「ほんと、可愛い」
レイヴィンはカイの手を掴んで自分のものに導くと、上から手を重ね2人纏めて握り込んだ。強く擦り上げる度にどちらのとも分からない蜜がヌルヌル混ざり合い、身体が熱い高みにどんどん押し上げられていく。
「あっ、ああ、レイヴィン。まっ、まって。もう、あっ、はああっ」
「・・・はっ、カイ、好きだ」
「ああっ、レイヴィン」
荒い息を吐きながら、逞しい男がカイを追い上げる。カイは細い腕を伸ばし、汗がしっとりと滲む男の背中に縋りついた。硬い筋肉が呼吸に合わせて上下している。苦しさと快楽の眩い波が、押し寄せてくる。
頭の芯がぎゅっと痺れ、全身の毛が逆立つ。身体がどうしようもなく痙攣し、カイは白い光の中に放り投げられた。
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