素直に「ありがとう」が言えたなら

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素直に「ありがとう」が言えたなら

それから半月後――。 運転免許証には緊張した面持ちの私が写っていた。 初めての遠出ドライブの行先は、龍吾との思い出が詰まった場所ではなく、母と甘い卵焼きが待つ実家に決めたのだった。 色んな意味でようやく大人になれた気がした私は、龍吾の名前を最後にもう一度確認すると、潔くレシートを捨てた。 『ありがとう。バイバイ』
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