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出会い
趣味だったダンスサークルで知り合って、気がついたら龍吾を目で追うようになっていて、だんだん目が合うようになっていた。
それから少しずつ距離が縮まって話をするようになった。
仲良くなってデートを重ねて、最低気温を上回る寒さが続いた雪まつりの会場で、鼻の頭を真っ赤にして鼻水を何回もすすりあげながら、「付き合ってくれる?」と真っ直ぐに私を見つめて告白してくれたとき、私は馬鹿がつくほど真面目な顔で龍吾に伝えた。
「彼氏と彼女ってかたちにしなくても、自分たちがそう思っていればいんじゃないかな?」――と。
でも、龍吾は首を横に振って私に見せた。
「それじゃダメだよ。彼氏と彼女ってこと隠してるみたいじゃん」
――歳離れ過ぎだし。ちょっとは隠すでしょ……。
「そうじゃないけど……」
図星かもしれないと思うと、私は目が合わせられなくなった。
そのくせ内心ほっとしたのは恋愛の醍醐味である駆け引きに疲れたのだろう。
自分から龍吾の手を握ったことは今でも忘れていない。
本当は心の中で大きなガッツポーズまでしていたのに、それと同時に私の胸の真ん中には小さなモヤモヤが住みついてしまったのだった。
年齢と、学生と社会人という違いのモヤモヤ。
言い換えれば、たったそれだけのモヤモヤ。
そして最初から二人の関係は終わるものだと、どこかで決めつけていた。
くだらないプライドが勝手に決めてしまった。
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