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序章
輝光は始まりの炎
闇は終わりの腕
光失えば泥濘に堕ち
影の母は滅入った魂を
昏冥の底につなぎとめる
昔、人間がまだ誕生する以前、エトランディアが一つの卵だったころ――そこは弱肉強食の世界だったという。
獣神や巨神、魑魅魍魎が跋扈し、強き者は輝光の豊かな地を求めて争い、ただひたすらに凄惨な戦がくりかえされた。
輝光は命の炎を強める。
しかし生ける者が力尽き、ひとたび昏冥に捕らわれれば――たちまち闇の女神の走狗となり、終焉の日まで魂の復活はない。
その救いのない有様を憂えた光の大神は、ついに卵を割るように世界を五つに分けた。
その一、光世。その二、幽世。その三、現世。その四、常世。その五、闇世である。
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