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合流
玉瀬が急いで戸を叩くと、すぐに返答があった。中から顔を出した男に、玉瀬はようやく安堵の息を漏らす。
一方の男も、はじめこそ目を丸くして固まっていたが、ややあって、ああ! と何かに思い至った様子だ。頭を掻きつつ苦笑した。
「結局帰れなくて悪かった。それはそうと、お前、ツキさんに連れてきてもらったのか。面倒をおかけしてすみません」
「いいえ、無事に会えて良かったですわ」
己も心底安堵したかのように、彼女は目尻の皺を深くした。
その後、ツキを庵まで送り届け、改めて町屋に戻った玉瀬たちは、囲炉裏に火を入れてから話を始めた。
「それで、師匠。依頼はこなせそうですか?」
「まあな。ちゃんと見つけたぞ」
師匠と呼ばれた男、晴道が口の端を上げた。
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