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依頼(三)
「俺がここに来て、彼を見つけるのにかかったのは一日ほど……」
「今日の師匠の呆けようから考えるに、あまりのんびりもしていられませんね」
玉瀬に悪気はなかったが、容赦ない言いように晴道はちょっと、ばつの悪そうな顔をする。
それでもすぐに気を取り直したようで、弟子の言葉に頷いた。
「そうだな。とりあえず、明日はツキさんを誘って町を散歩でもするか」
「あれ、おかしいな……おれの言ったこと、通じてないのかな」
玉瀬が、何を呑気なと眉根を寄せた。
「分かってるさ。だが、まあ、それくらいの時間はあるだろう」
そう言う晴道の表情は柔らかく、玉瀬もややあってから目を伏せて同意した。
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