真と嘘(一)

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真と嘘(一)

「我々も楽しかったですよ。ここは良い町だ」 「そうでしょう」  誇らしげに頷いたツキに、すっと神妙な面持ちになった晴道が切り出す。 「けれど、ツキさん。それも、そろそろ終わる頃合いです」  いきなりの言葉に、彼女は笑みを引っ込め、目を瞬いた。 「どういうことですか?」  そう尋ねるツキの声には戸惑いが含まれている。(まこと)に心当たりがなさそうだ。  晴道は彼女を真っ直ぐ見据えると、重い口を開いた。 「よく見てください。この町は……嘘ものでしょう?」  刹那、ツキが目を大きくして息を呑んだ。  晴道から視線を外し、先に広がる町を見る。痛々しいほど、食い入るように。
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