「鯉」北村アツシ・作

2/4
前へ
/10ページ
次へ
相変わらず人の多いショッピングモール内を、同じ歩幅で歩く。繋いだ手を前後に揺らしながら、マヤがケンイチに尋ねた。 「この間も2人で来たっけー?」 「たしか去年の冬に2人で来たな。すげー寒かったの覚えてる」 「たしかに寒かったね、凄い寒かったの覚えてる」 「ホントに寒かったもんな」 「去年の冬だもんな」 「去年は寒かったもんね」 「本当寒かったの覚えてるわ」 「うん、寒かった」 会話を弾ませながら歩く2人。その足元にアイマスクが一つ落ちていたことに、2人が気づくことは無かった……。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加