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「そろそろ部活に行こうかな。それじゃあね」
「僕もそろそろ行くよ」
僕に手を振って二人は教室を出ていった。
クラスマッチはバスケか。試合に出ないで済むように頑張ろう。
──空野くんはちゃんと出ないとだめだよ?
「……」
ため息を一つこぼす。わざわざこんな人間にまで本当にお節介な人だ。
(帰りに本屋で小説でも買って帰ろう)
電車で帰れば二駅ほどで自宅の最寄り駅へ着くのだが、人が多くうんざりするため歩いて家に帰るのが僕の日課だ。ちなみに家まで歩きだと一時間半はかかる。他人が見たら馬鹿だなと鼻で笑うだろう。毎日のようにこんなに歩くのはダイエット中の人か僕くらいだろうから仕方がない。
散歩するのは好きで、夜は近くの河川敷をよく散歩していたのだが、学校の帰りにそれなりに重い教科書の入ったバッグを持って一時間半以上も歩くのはもちろん疲れる。
抜け殻みたいな僕でも知らない道を見つけると好奇心に負けて行ってみたくもなる。自分の中にある好奇心はまだ完全に死んだわけではないのだとその度に安堵する。
また昔みたいにいろんなものに興味を持って、存在するものすべてに魅了される日がくると、そう信じたい。
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