2.僕と俺

14/14
前へ
/114ページ
次へ
【悩みがあるなら相談を!コールセンター……】  自殺防止。担任から配られたそのプリントに書いてある見出しを見て虫唾(むしず)が走る。    自殺を考えている人が知らない誰かに相談しただけで何か変わるとでも? 心の問題を解決すようとするよりも、まず現実に起きている問題を解決するべきだろ。何もしようとしないくせに相談して何の意味がある?  本当に分からないことばかりだ。それは相談される側の自己満足でしかない。    被害者側に何かを求めるのはおかしい。自殺したいと思わせる原因を作った加害者側を罰すれば終わることだ。  世の中バカばっかりだ。口先だけで偉そうなことを言って何もしようとしない大人、自分が強いと思い込んですぐに調子にのるバカ、見て見ぬふりをして自分に被害が来ないようにする傍観者たち。  どいつもこいつも取るに足らないバカばかり。 「どんな気分?無視されるのは」 「別にどうもねえよ」 「ふーん。ま、俺よりはマシだもんな」 「……やりたきゃやればいいだろ」 「別にいいよ。君からはいろいろ奪っちゃったからさ。そのせいで君がいじめを嗾けたんだろうけど」  俺は君からいろんなことを教えてもらった。けれど、君から教えてもらったすべてを俺は捨てた。  今、君はどんな気分?きっと後悔しているだろうね。いじめを始めたことなんかじゃなく、俺という人間に出会ってしまったことに。 「俺は他の連中とは違うから。これからも仲良くしようぜ、平野」 「……お前、誰だよ?」 「今更何言ってんだよ。俺たち友達だろ?」  やっぱり俺は人を傷つけてしまう。それでも後悔はない。    だって、バカは一度痛い目を見ないと治らないって言うだろ?
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加