3.告白と叶わなかった約束

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 朝起きて、一人で朝食を食べる。  早起きするのも、朝食を一人で食べるのも慣れたものだけど、別にいい気はしない。これから向かう先が学校なのだから余計に。  無駄に授業が朝早くから行われるために、無駄に早起きをしなければならない。早起きに慣れたとはいえ、眠くないわけではない。  ふとテレビから流れているニュースに目をやると、アイドルグループのライブのワンシーンが映っていた。  アイドルほど大勢の人を笑顔にできる職業はないだろうと僕は思っている。   人々に勇気や感動を与え、時には生きる希望さえも与えているかもしれない。医者のように病気は治せないけど、人々の心を救うことはできる。人の心の傷を治すことなんて大抵の人はできないのに。  アイドルだけじゃないのかもしれないけど、なんで他人のためにそこまで一生懸命になれるのか。僕にはそんなこと一生できそうにない。自分を応援してくれるファンのためにと言うのなら分からないでもないけど。  準備を済ませて駅へと向かう。  朝のこの静かな時間を散歩するのは嫌いじゃないけど、行き先が学校じゃなければなと、また思う。  教室に着いた頃には僕の体力の半分はなくなっている。電車の中から学校まで、大人数の集団の中にいるだけで辛い。    僕の意志とは関係なしに、僕はこのまま集団の中に消えてしまうのだろうか。  学校に来てからも、そして多分、社会に出て働き始めてもずっと思い続けるだろう。僕の意志がいつか消えたとしても。
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