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「はよーございまァーす」
女子更衣室のドアを開ければ、中には誰もおらず、ガランとしていた。
良かったと、内心ホッとする。3年の南雲ならまだ良いが……同じく3年でマネージャーの蛇女がいたなら、コソコソニヤニヤネチネチと、また陰口を叩かれるところだった。
ただでさえ今、夏の暑さも相まってか“例の頭痛”がキていて、あまり機嫌が良くないというのに。ここで陰口なんて叩かれたりなどでもしたら堪ったものじゃない、勘弁してくれとも思う。
まぁ、その隙を与えてしまっている自分も自分なんだが……と溜息をこぼしながら、聖夜は着替えに取りかかった。
着替え終わり外に出ると、見知ったうるさい“お人好しバカ”が待っていた。
「よっ、おはよーさん」
「……はよ」
「カントクがさ、そろそろ合宿相手着く頃だから迎えに行けって」
うげっ、と眉間にシワが寄る。
合宿前に早々、面倒くさそうな仕事押し付けてきやがったなと思いながら、
「マネージャーたちはどうしたんだよ、特に蛇女センパイ。あの人なんか喜んで手ぇ挙げて行くだろうに」
「それがさー、今マネージャーたち準備とかで忙しいらしくてさ。俺らにその役が回ってきたってワケ」
舌打ちしたい衝動を抑え、溜息を零しながら渋々承諾した。
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