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02 邂逅
あれから数日。
好きなサッカーが思う存分出来る合宿だというのに、聖夜は気分が晴れずにいた。
酷くはならないものの、やはり不定期に続いている“例の頭痛”。それに加えて、地原中学校のこと。
彼らが何かしてきたワケではない。当たらず触らず、普通に接して来ている。
では何が問題なのか――視線だ。
もちろん、地原中学校 サッカー部全員ではない。ほんの数人だけで、練習の間に名前を覚えてしまった。
――キャプテンにしてGKの灰路 零、FWの碧水 輝夜。そしてMFの、緑川 夏樹。
選手だとその3人、特に碧水と緑川がやけに凝視していた。
他にもマネージャーが2人。名前は確か……白峰 真莉愛と赤鬼 美伽だったか。
この5人が、やけに自分のことをジロジロ見ていた。最初は選手としてマネージャーとして見ていたんじゃないか、気にし過ぎなんじゃないかと思っていたが……段々と違うことに気付いてきた。灰路ならともかく、他の4人は一体何が理由なのか。
緑川や赤鬼は話しかけたいような、モジモジとした視線。何故か睨んでくる白峰や碧水よりはマシに見えるかもしれないが、実はコレがなかなかにイライラしてくる。
「くそっ、何なんだよ……」
吐いた悪態は、独り寂しく風呂の天井に響いた。
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