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4年前。自分は林の中で血だらけになって倒れていたところを“発見”されたらしい。左眼は潰れ、搬送先の病院で目が覚めた時には記憶を全て失っている状態だった。
“聖夜”という名前は、持っていたハンカチから解ったが……あとは何も解らないまま。
怪我が治っても帰る場所が解らなければ、行く場所もない。そんな子供を引き取ってくれたのが、自分を発見し病院に連絡してくれた男・天馬 誠十郎――昨年亡くなった、百合子の夫だった。
そしてそのまま善良な天馬夫妻の元で過ごし、今に至っている。
もちろん引き取られた頃より前の記憶は戻らないままで、“例の頭痛”だけが影のように4年間も付きまとっていた。
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