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隠す必要もないので、ありのままに空間デザインをしていると答えた。
花のアレンジと共通することもあって、話していてとても楽しかった。
たぶん、店長さんは聞き上手だ。
どんどん話してしまいたくなるから、本題に入れない。
しかも、店長さんが口にする言葉は常に温かい。
「私の場合は期間が短い上、飾るものです。でも、美花さんのお仕事はそこに用途や使い勝手、それにクライアントの要望とか色々な要素が加わりますよね」
私は驚いた。
何でわかるんだろう。
花のアレンジも似ているのかな。
「よく分かりますね」
「仕事で商業ビルに入ることもあるから、なんとなく」
「はい、お待たせしました。特盛ロースカツ定食にヒレカツ定食」
いつものおばちゃんの声だ。
「ありがとうございます」
久しぶりだから、笑顔を見せた。
いつも、ちゃんと食べているかとか、仕事はどうだとか声を掛けてくれる。社交辞令だとしても、優しい言葉とその声は、疲れた胸に沁みる。
「ご飯と豚汁、キャベツのお代わりは無料だから、声掛けてねー」
「いつ見ても、おいしそう!」
私は、花を目の前にしたときのようにご機嫌だ。この店に来るのに、1ヶ月も間が空いたのは初めてかも。きっと、満面の笑みになっていたんだと思う。
茶化すような、店長さんの声。
「べた惚れですね」
「お花の次に、好きなんです」
「ここには、お仕事の方と?」
そうか、普通の女性はとんかつ屋さんに行かないものなのかな。私は顔が熱くなった気がして、一瞬俯いた。
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