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プロローグ
とある高校の四階、西側の男子トイレ。そのトイレについている小さな窓からの暖かい夕日の光が冷たいトイレ内に差す。放課後は無人であることが多いこのトイレに四人の生徒がいた。
「おい剛、こいつの財布シケてるぜ~。千円しかねぇの」
「マジかよ。隆史、ちゃんとしらべたのか~? 健次、どうする?」
「とりあえず、殴ろうぜっ!!」
健次の拳が眼鏡をかけた生徒の左頬をとらえる。鈍い音がトイレに響く。殴られた生徒の眼鏡は遠くまで飛んでいき、壁に当たって床に落ちる。レンズにはヒビが入ってしまった。
「一ちゃ~ん、てめぇの家は金持ちじゃねぇのか? 昨日約束したよな? 五万持って来いってよっ! 約束破ってんじゃねぇよ!!」
健次は殴りながら怒号をあげる。
「ご、ごめん。けど……」
「あぁ!? 言い訳までするの? そんな奴には罰が必要だな。おい、剛、隆史」
健次は二人に顎で指示する。剛と隆史はニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら殴られ膝をついている一を羽交い絞めにして、個室へと連れていく。
「やめて、やめて……」
「いいえ~。やめませ~ん。水攻めの刑で~す」
「いくよ。3、2、1。はいど~ん!!」
便器内に頭を押しつけられもがく一の姿を見て健次、剛、隆史の3人は腹を抱えて笑っている。その笑い声はしばらくの間続いた。
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