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エピローグ
一は糸が切れた操り人形のようにバタリとその場に倒れた。さっきまでが騒ぎが嘘だったかのようにその場を無音が支配していた。
ポツリポツリと降り始めた雨はどんどん勢いを増していった。
本降りとなった中、死神は一人立っていた。
「ふっ、ふふふ……はははははははははは!!!」
死神は笑い始めた。
「最高だよ。これだよ、これ。俺が待ち望んでたのはよ。」
死神は魂の抜けた一を一瞥する。
「ったく、最初はどうしようかと思ったぜ。死を宣告しても全く絶望しやがらねぇ。こっちにしてみりゃなんの面白味もない。死神の楽しみなんて死を宣告したときの人間の絶望した顔、『やめてくれ』『助けてくれ』と無様に泣き叫ぶのを見るしかないのによぉ」
死神は言う。
「ま、いっか。これはこれで人間らしい馬鹿で愚かなな言動も見れたし。なにより……」
目を閉じて、一の最期を思い出す。
「最高の絶望だった。これだから死神の仕事はやめられない」
死神は軽くジャンプし、柵の上に立つ。そして、街を見下ろしながら言う。
「さて、次はどんな奴にしようか」
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