序章

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 かつて国の都であった京より南方に大きな池があった。  その名を『巨椋池(おぐらいけ)』。  そこには化け物が居たという。  人々を脅かす大きな大きな蛇の化け物が。  その化け物とは、かつて出雲国に出現し、スサノオノミコトによって退治されたはずの『八岐大蛇』が『邪気』をこの世に残し、具現化したものである。  それは人間を怨み、滅ぼそうと企む化け物であった。  『八岐大蛇の邪気』は計八つ。  そしてこれまで滅した数は六つである。  まだ二つの『邪気』は何処かで秘かに生きている。  いつ現れるかわからぬ化け物に備えよ。  もしかすると、すぐ近くに居るやも知れぬ、と。  『邪気』討伐のために動く者たちがいた。  化け物討伐のため帝の命で作られた、怪異討伐部隊。  安倍晴明の末裔たちを中心に組織された部隊である。  そして、『八岐大蛇』の『正気』を奉る『時川神社』。  かつて安倍一族と共に討伐に関わった川原一族と最初の討伐者の末裔である時川神社の主。  彼らは人々を護るため、この地を、日本を護るため動き出す。  そして今、7体目となる『八岐大蛇の邪気』が動き出そうとしていた。
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