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エピローグ
「楽しいね、ばあちゃん!」
こうちゃんは、ゴーゴーと音を立てて風のように通り過ぎるジェットコースターを、目をキラキラさせて眺めている。本当に傍から見ても楽しそうだ。
雅代も雅代で孫と遊園地に来るなんてイベントは初めてで、ワクワクしているのはこうちゃんと同じだった。
「パパやママは遊園地に連れて行ってくれないの?」
こうやって手を繋いで、何気なく歩いておしゃべりするのも楽しい。
「パパはこんな所には来るもんじゃないって言うよ。ママは……パパの言うこときいてばっかりだし」
まだ小学校二年生のこうちゃんは、聞けば学校と塾と家の往復ばかりのようだ。遊びたい盛りだろうに、それが雅代には可哀想にも思える。
ようし、この旅行の間、こうちゃんをたっぷり楽しませてやろう。雅代は繋いだこうちゃんの手を強く握り直した。
「旅行……か……」
この旅の始まりは、数時間前に遡る。
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