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恥をかかせるな。私の息子らしくしろ。人と同じことをしろ。そんなことばかり言われていた。
俺は特になにもしてないのに、責められることが多い。
「雪見、ぼーっとしてんぞ」
「あ。隼人、お前借金まみれとか言いふらしただろ」
オーダーが来るまで立って待ってる。特にすることない。
「いや?」
「俺話してないのに」
「オーナーに兄貴がチクったんだろ?」
えーもう。ひどい。
「あ、客だ。雪見行け」
「いらっしゃいませ、女の子は誰にしますか?」
…あ。これは人じゃない。まずった。
「おい雪見、どこ見て言ってんだよ!…すみません」
「君は、新人かな?」
あ、今度は人間だ。丸坊主?和服?
「はい」
じーっと見つめられた。
「あ。女の子は誰にしますか?」
「君のおすすめの女の子は?」
「あの、俺のおすすめはわからなくて…店のおすすめなら…」
「おい、変なこと言うな!すみません、天野様こちらへどうぞ」
隼人から頭ぶたれたんだけど。あ、この人お得意様か。そーか、そういえばお坊さんの人はお得意様だからと言われてたのに。
「君、飲み物を持ってきてくれないかな。ウーロンハイ」
「は、はい!」
指定された飲み物をお持ちすることに。気分を害してないといいな。
「お待たせしました」
「ありがとう。君はなかなかいい子だな」
「この子、親に捨てられて借金まみれなんですって。健気に働いてんのよ?」
女の子をはべらかしてるお坊さん。ありなんだなぁ。
「ほう?」
お坊さんの視線が熱い。こんなキャバクラに堂々と来ちゃうお坊さんなんだなぁ。
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