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『晴澄、夜分に悪い。緊急事態』
一気に酔いが醒めていく。
「ほらな? いくらおまえがろくでなし扱いしようと、おれは常に正しい」
金に煙る睫毛の下で、瞬きをしない双眸が昏く煌めく。
開ききった瞳孔は死者のそれに似て、真正面から絡みついては、この胸の平静を奪っていく。
忌々しくも、いけ好かない同居人が自分と同種の生き物ではないことを痛感させられる瞬間だった。
「……はい。すぐに向かいます」
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