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「あの二人は苗字が同じなのよ」
「え、」
「確か、佐々木……佐藤? 斎藤だったかもしれないけど……とにかく紛らわしいから名前で呼んで区別してるだけ」
「そっか……」
そこに特別な理由なんて存在していなかった。蓋を開けてみれば、拍子抜けするほど単純な話だったのだ。でも、裏を返せば、区別する必要があるくらい果穂ちゃんや志織ちゃんと親しくしているということでもある。
「……マミ」
「…………え、」
やっぱり少し妬けるなぁと苦笑してしまう。そんななかで、耳が拾ったその二文字は聞き間違いかと疑うくらい現実味がなかった。ろくな反応もできずにただビックリしていると、ムスッとしたアオ様が私を睨んでいた。
「"マミ"が、良いんでしょ」
「う、うん!!」
果穂ちゃん達を名前で呼んでいたから気になっただけで、本当は苗字呼びでも構わなかった。親しみを込めて汐と呼ばれるくらいなら、他人行儀でも間宮の方がずっと良い。そりゃ、マミと呼ばれるのが一番嬉しいに決まっているけど、そこまで望んでいなかったし強制する気もなかった。
「アオ様がマミって呼んでくれるとは思わなかった」
「嫌ならやめるけど」
「ううん、"マミ"が良いの。……ねえ、電話番号教えてもらっても良い? しつこくかけたりしないから」
断られたらそれはそれでまあ良いかくらいの気持ちで訊いてみると、アオ様はあっさり電話番号を教えてくれた。
アオ様の電話番号が表示されているスマホの画面を眺める。ただの数字の羅列がキラキラして見えて、自然と口角が上がった。
「……そんなに嬉しいの?」
「うん。なんだかんだ色々連絡先入ってるけど、別に親しいわけじゃないしね」
個人的にやり取りするのなんて、ユイとヒナくらいだ。……と、そこまで思って、ふと疑問が湧いた。
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