(1)青天の霹靂

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 なんで!!?? そう叫びたい気持ちでいっぱいだった。が、場所が悪過ぎる。膝の上でグッと拳を握り締めて堪える。アオ様に無言で引っ張られるまま連れてこられたのが町の図書館だったのだ。  向かいに座っているアオ様を盗み見れば、黙々と勉強していて。数学の問題集の上でサラサラとシャープペンを走らせている。テスト近いもんな。……いや、そうじゃない。図書館なんか俺にはまるで縁のない場所だが、私語禁止だということは知っている。つまりは、この状況について問うこともできない。  俺もアオ様を見習って勉強に励めば良いのかもしれないが、元からそんなつもりはない。薄い鞄の中には教科書の類など何一つ入ってはいなかった。マミから連絡が来ていることに気づいたが、どうせ面白がっているに違いない。無視だ、無視。  このまま座っていたところで状況は変わらない。何よりも居心地が悪くて、とりあえず館内を一回りしてくるかと立ち上がる。そんな俺をアオ様は一瞥したが、何を言うわけでもなくすぐに視線を問題集に戻していた。帰ってもイイデスカ。
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