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真実
「おせぇよ」
電話に出た瞬間タマキの声
「タマキ?どうしたの?」
タマキから電話なんて珍しいからちょっと緊張する
「ナオヤ、今日学校に行かないでどこ行ってる?」
一瞬ドキッとした。なんで知ってるんだろう
「あーーー、ちょっと友達と遊んでいて…てか何で知ってるの?」
「オレの情報網舐めんなよ。俺との約束忘れたわけじゃねぇよな?あんま目立つことするんじゃねぇ」
「うん、忘れてないよ。ごめん」
しばらくの間
「…ハァ。今後は何かあったらすぐに連絡しろ。いいな?」
ため息が聞こえたと思ったらタマキが呆れた声でそう言った
タマキ、、もしかして心配してくれてる…?
連絡…してもいいの?
「タマキ!オレさ…!」
ツーツー…
俺が話すのと同時に通話が終了した電子音が鳴り響く
タマキ…会いたい
思えば明日は土曜日
ちょうどそろそろ久しぶりに顔を出そうとは思っていたからちょうどいい
もしかしたらタマキに会えるかもしれない
そんなことを考えながら部屋の窓を開けて空を見上げた
空が大分暗くなってきていて今日は満月みたいだった
綺麗な海も見れたのに夜に満月も見られるなんて少し得した気分
夜空に浮かぶ月と海、同時に眺められたら最高だろうな
思わず空に手を伸ばした
次の日、朝早くに自然と目が覚める
学校のある平日は全く起きられないのに
休日の日は何故か自然と早い時間に目が醒めるから不思議だ
オレは早々に準備を済ませて家を出た
ようやくSMOKILLのアジトに着いた頃
奥の部屋から何やら話し声が聞こえたから進んでいく
タマキ…?
「千晶〜タマキさんの目の傷ってさ、尚哉くんにつけられたって本当??」
自分の名前が聞こえた気がして急いで物陰に隠れる
そこには千晶と名前は知らないけどヤマタノオロチのうちの一人が居た
タマキの目…
そうだ。オレがつけた傷…
「そうよ〜本当にムカつく!!」
「へぇ。でもタマキさんがそう安易と攻撃を受けるなんて…咄嗟に避けられなかったのか、それとも敢えてやられたのか。タマキさんのことだから後者な気がするけど…でもさ、そもそも何がそんなに尚哉くんを怒らせたわけ?」
…それはオレも気になっていた
その辺の記憶はまだ曖昧なままだった
なんであの時オレは怒っていたんだろう
2人にバレるんじゃないかってくらい心臓の音が煩い
「あの日のことはね、タマキ以外の人間も関わっていたのよ」
「アキトってやつのこと?」
「そう明人…!!今思い出してもムカつく…明人とタマキが手を組んでナオヤを陥れようとしたのよ。雑魚チームを利用してね。」
「は?どういうこと」
「タマキのためならなんでもやるナオヤにはタマキが一番消したいチームってことにして伝えておいて、ナオヤがボコった後に実は今後利用していくのに必要なチームでした〜って嘘の種明かしをしてナオヤをチームから追い出そうとしたのよ。あの時は滑稽だったわ〜。まぁあの時明人が殺されるのはタマキの想定内だったみたいだけど…」
「へぇ。でも何のためにそんなことを?」
「それはタマキじゃないと分からないわよ!でも、タマキ、アイツの絶望した顔を見るのが大好きだったから、きっとその日もそれの一貫だったんじゃないかしら…なんでナオヤばっかり…クソ」
「うわ。悪趣味〜でもさ、それで返り討ちにあってチーム消されてるんじゃわけないよね〜」
「悔しいけどあの日のナオヤの気迫は凄かったわ…まるで狂った鬼の様で…あの頃の私はまだ今よりも弱かったから…でも今は違う。」
「はは!鬼って!!笑えるんだけど…」
ガタッ
「ねぇ、今の話って本当?」
思わず黙って聞いてられなくなって
確かめたくて俺は声をかけた
「…尚哉くん!」
「本当だって言ったら、どうするの?」
信じられない
「…嘘だ。タマキはそんなことしない。」
「はは。ほんと尚哉って馬鹿なやつ」
「煩えよ」
笑うんじゃねぇ
「あー!怖い怖い!でも、立ち聞きとかナンセンスよ〜!」
手をひらつかせながら千晶ともう1人の知らないやつが部屋から出て行ってオレは1人部屋に取り残される
「タマキ…そんなことしないよな?」
1人になった途端思ったよりもか細い声が出た
千晶にはあぁは言ったけど、正直不安だった
タマキはオレのことSMOKILLから追い出そうとしたの?
なんで?
飽きた…とか?
オレのこと嫌いになった…?
嘘だ
タマキがそんなことする筈がない
俺、信じてもいいんだよな?
ここにまた居てもいいんだよな…?
タマキ…
辛い
苦しい
悲しい
急に不安になってネガティブな思考でいっぱいになる
どうしたらいいのか分からない
そんなときに机の上の注射器が目に入った
…BLACKOUT
徐にそれを手に取り俺は腕に注射器をさした
そして中の液体を全部体内に入れる
そうすると急に頭の中がフワフワとして
今までの不安な気持ちが一気に消えた
自然と笑みが溢れる
「はは…はははは」
一言で言えば愉快
あれ…オレ今までなにをそんなに悩んでたんだっけ
大したことなかったんだ
きっとそう…
それからオレはいつの間にか眠っていたらしい
その日は結局タマキに会えなかった
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