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最後のどんでん返しの後、谷川先生が我々読者に語りかけてこの洗礼と言う話は幕を閉じます。
「いびつな者は、自分でそれを感じることが出来ない。そしてそれを感じたものがいびつにされる。狂った世界の中にただ一人狂わない者がいたとしたらどっちが狂っていると思うのだろう」
私はおかしくない、周りがおかしいのだ。ってことですよね。
人間、70億それぞれ違った価値観を持ってるんです。価値観の似たような者たちが集まって多ければ「多数派」となり、少なければ「少数派」実にわかりやすい作りになってます。
大学で統計学を修めていた時にこの辺りのことは学びましたね「多数派が正しいとは限らない」って。
一例として1940年度アメリカ大統領選挙を挙げましょう。その時の候補者は民主党が三期目を狙う現職フランクリン・ルーズベルト、共和党が実業家のウェンデル・L・ウィルキー。どこの新聞社だったかは忘れましたが「あなたはどちらに入れますか」と電話調査を行ったらウィルキー大人気だったんですよ。その新聞社も「ウィルキー当確!」みたいな記事を出すぐらい。電話調査に答えた人たちも「ルーズベルトは三期目だからもう無理だ」「ニューディール政策で無能を晒した」「世界恐慌は共和党のせいだ!」などと罵詈雑言の嵐。
この時点でウィルキーは「多数派」にルーズベルトは「少数派」になってしまったわけです。
しかし、選挙は知っての通りのルーズベルト圧勝。電話調査とは一体…… 結果は真逆。
この当時の電話はまだビジネスで連絡取るためのツールでしかなく、一般家庭への普及はまだまだで、電話を持っていても一部の金持ちのみだったんです。つまり電話調査はビジネス街の方々+一部の金持ちの意見だけで統計をとっていたことになります。
ビジネス街の方々や一部の金持ちからすれば、ニューディール政策で不況を脱することが出来なかったルーズベルトは無能でしかない。だから「ウィルキーに投票する」と言うのは当然のこと。まだ電話機を持っていない一般家庭からすれば「不況を引き起こしたのはウォール街で仕事やってるウィルキーのような実業家共のせいだ! だからルーズベルトの三期目に期待する!」って方が多かっただけのことです。
余計な話をしちゃいましたが「多数派」「少数派」なんてアテにならないってことです。
「いびつな者(少数派)は、自分でそれを感じることが出来ない。そしてそれを感じたものがいびつにされる。狂った世界(多数派)の中にただ一人狂わない者(少数派)がいたとしたらどっちが狂っていると思うのだろう」
すいません…… 最後のどんでん返しのネタバレを書いてないせいで、こいつ何言ってるんだ状態になってますけど、おかしいのは上原さくらだったのか、それとも周りの人間だったのかってことを考えると結構重要な話してるつもりです。
個人的には「若草いずみ」と「上原さくら」がおかしかったとしか言いようがありませんけどね……
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