目のない舞姫 不気味な五週間5話 藤子不二雄Aブラックユーモア短編集収録

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私なら間違いなく追い出す。警察に連絡してでも追い出す。そもそも初めから「家に来るな」と拒否する。満里の事情はわかるが、赤の他人にそこまでする筋合いはない。 舞姫人形だが、目に瞳がなかった。白目なのである。冬彦少年と満里は仲の良い関係になっており「人形が白目なのは君が大きな目を取っちゃったからさ」と冗談を言っても許されるようになっていた。 ある日のこと、冬彦少年は満里が来るのを楽しみにしており上の空になっていた。そこを家政婦のオバチャンにからかわれ、サッカーボールを投げつける。 サッカーボールは舞姫人形に直撃、粉々に砕けてしまう…… 三日後…… 満里の叔母が訪れ、満里の死を知らせる。死んだのは三日前…… 舞姫人形が壊れた日と同日であった。 その三日間で冬彦少年は舞姫人形を一生懸命直したのだが、もう見に来る者はいない。 冬彦少年が舞姫人形の瞳を見ると…… 満里と似たような瞳が舞姫人形の目に輝いているのであった…… 最後まで読むとホラーと言うよりは悲劇の後の怪奇現象発生って話なので、そう怖くはないんですよね。突如瞳が出来るのは怖いですが。 とにかく個人的には満里の顔が怖いとしか言えない。喜怒哀楽のシーンはあるのに表情は一切変わらない。どう言えばいいんでしょうか、能面が怖いと思う理由に近いとでも言えばいいのか。表情が一定で「何考えているかわからない不気味」さが能面に近いのかもしれません。 満里自体が人形みたいな感も覚えるんですよね……  駅前の小粋な古本屋って、最後まで立ち読みされないように本の中にテープ巻いてあるじゃないですか。あれみたいに「目のない舞姫」の10ページ分だけ封印しようかと考えてます。これぐらい怖く感じるんですよ……
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