コロリころげた木の根っ子 藤子F不二雄 異色短編集収録

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そして迎えた夕食。鮪の刺身にアジのフライと魚ばかり。大和曰く「毎晩」らしい。 大和は文句を言うも「男が台所に口出しをするのは卑しい」として、それを受け入れるのであった。 大和、ここで急にデレる。可愛いだとの愛してるだのと奥さんへの感謝の言葉を並べるが西村は疑いの目で見てしまう。 「この猿もあいつのプレゼントだ」 説明が遅れましたが、ペットの猿はマレーシア産のカニクイザル。蟹の甲羅をバリバリと砕いて食べる程の顎力と歯の硬さを持っている。野生のカニクイザルに手を出したらガブリと指を噛まれて「ケジメ」をつけることになるかもしれないから、良い子の皆は東南アジアに旅行に行って野生のカニクイザルを見つけても手を出しちゃいけないぞ! 猿と目が合うと襲いかかってくるぞ!  ここでやっと大和に構想が思いつき、執筆に入ることに。 タイトルは 「コロリ転げた木の根っ子」 メタ的にみてもやっとのタイトル回収w  あらすじは…… 徹底的に受け身の人間を主人公にする。童謡の「待ちぼうけ」のようにウサギが切り株にぶつかるのを待つ。これと同じように自分は手を下さずにチャンスを待つというもの。 東野圭吾先生の探偵ガリレオシリーズの「聖女の救済」がそんな話でしたね。一年間待ったみたいな話。 また、酒が切れてしまう。大和は奥さんを呼びつけるが「こない」 仕方なく西村が酒を持ってくることに。 西村が酒を探していると、スクラップブックを発見。 「トイレが爆発」トイレが汲取式であったためにメタンガスが引火し爆発…… 「おもちゃで大怪我」階段の上に置き忘れた玩具につまずき、首の骨を折って…… 「ペットからの伝染病」東南アジアの野生の猿は人の脳を犯すウィルスを持ち…… 「水銀汚染魚安全献立表」一週間に小アジ12匹、マグロ47切れ以下…… 有害な食品添加物一覧…… ヘビースモーカーの肺癌発生率…… 脳卒中はいつどんなところで…… 西村はこれまでこの家で起こった不自然な現象と酷似していることに気がついた。慌てて、大和の部屋の前に戻ると…… 白目を向いて、階段前にビンを置き直す奥さんの姿があった。 そこへウサギが飛んできて~ コロリ転げた木の根っ子~
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