序章:望み

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 ーーサンニア、ファミリアス私室ーー 「じゃあ、残存部隊は散り散りに?」  サンニアのファミリアスの私室ではファミリアスとメレミアが拠点EⅨにいるディイスからの報告を受けていた。 『敵部隊は戦意を喪失していたようですし、何より兄さんが背を向けている相手を撃つなとのことでした』  若干呆れたような言い方をするディイスにファミリアスは「悪いけど、シェスが真っ当よ」ときっぱりと言い切る。 「無用な犠牲を出すのは私も反対。撤退や降伏をしているのなら必要以上に犠牲を出すことはないわ」  モニターに映るディイスは渋い顔をしながらも『了解です』と返し、通信は切られる。するとメレミアが口を開いた。 「リンド・シルヴァークの戦死……いいえ、自殺はゲリラ部隊の活発化に繋がるわね。しかも、最期の言葉。覚醒者の否定でよりね」  メレミアの言葉にファミリアスは頭を抱える。しかし、口にしたのは弱音ではなく心配であった。 「その辺りは私たちでなんとかなると思う。でも、一番心配なのはシェスのメンタルよ。最近落ち込み気味なのに今回のことを受けたら……」  メレミアは「それはそうだけど」と意見しようとするが、それ以上の言葉は出なかった。
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