序章:望み

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 ーーサンニア近海、ハクアⅡーー 「全機、攻撃を中止!」  サンニア近海でも敵対勢力の撤退は始まっていた。トフィアの参戦により防衛線の死守は成し遂げられ、サンニア本土の攻撃は防ぐことができていた。  そしてトフィアの命令で防衛部隊は攻撃を中止する。その時に司令部のレヴニカから通信が入った。 『拠点EⅨより、リンド・シルヴァークの戦死が確認されました。撤退する部隊への追撃は中止してください』  レヴニカの指示にトフィアも追撃を止めるように指示を出す。だが、クレオールが『あまい判断だな』と意見した。 『降伏ならまだしも撤退したということは、いずれまた攻めてくるぞ。それだけのリスクがあるなら撃っておいた方が』 『安易な考えは身を滅ぼすことに繋がります』  カリンの言葉にクレオールは怒りを示す中、トフィアは大きく息を吐いた。 「……トトリィ中尉の意見も、コトルト中尉の考えも間違ってはいません。しかし、今は何が正解なのかではなく、何を優先すべきかを考える必要があります」  トフィアの言葉に対し、隊員たちは何も返さない。そしてトフィアは「全部隊、帰還を」と指示を出した。
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