31人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーサンニア近海、ハクアⅡーー
「全機、攻撃を中止!」
サンニア近海でも敵対勢力の撤退は始まっていた。トフィアの参戦により防衛線の死守は成し遂げられ、サンニア本土の攻撃は防ぐことができていた。
そしてトフィアの命令で防衛部隊は攻撃を中止する。その時に司令部のレヴニカから通信が入った。
『拠点EⅨより、リンド・シルヴァークの戦死が確認されました。撤退する部隊への追撃は中止してください』
レヴニカの指示にトフィアも追撃を止めるように指示を出す。だが、クレオールが『あまい判断だな』と意見した。
『降伏ならまだしも撤退したということは、いずれまた攻めてくるぞ。それだけのリスクがあるなら撃っておいた方が』
『安易な考えは身を滅ぼすことに繋がります』
カリンの言葉にクレオールは怒りを示す中、トフィアは大きく息を吐いた。
「……トトリィ中尉の意見も、コトルト中尉の考えも間違ってはいません。しかし、今は何が正解なのかではなく、何を優先すべきかを考える必要があります」
トフィアの言葉に対し、隊員たちは何も返さない。そしてトフィアは「全部隊、帰還を」と指示を出した。
最初のコメントを投稿しよう!