エーム・ウェル

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ーーサンニア、リートック自室ーー 『ヒントは、もう良いのかい?』  リートックはヒーリアと通信をしていた。もう、興ざめしたと前置きを置いて。 「アンタ、答えを話す気ないんだろ? そんな相手をし続けるこっちの身にもなってみなよ」 『ふふ、そうだね。まあいいよ。退屈だっただけだから』 「いちいち鼻につく言い方をするもんだ」  そのまま通信を終える。黒いモニターに映る自分の姿に対してリートックはため息を吐いた。 「……知ったかぶりをするのもいい加減にしろってんだ」  確信はない。だが、ヒーリアは答えを持っているとは思えなかったのだ。それは疑似覚醒者だからではない。似たもの同士だからだと位置づければ辻褄が合うと思ったから。だからこそリートックはデータをまとめることにする。 「俺も俺だな」  知ったかぶりをしている、自分に向き合うことを決意して。
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