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エンケ・サリティルム
ーーサンニア、ファミリアス私室ーー
「ホウジョウ……ツバサさん、ですか」
シェスたちが帰還を始めた頃、ファミリアスの私室に一人の訪問者が訪れていた。
「初めまして、ラリアンクス様。以後お見知りおきを」
[ホウジョウ・ツバサ]と名乗った女性は一礼する。
ファミリアスは「ニホンの名家であるお方がどのようなご用で?」と警戒を込めた口調で問いかけるが、ツバサは「お一つ、お聞きしたいことがあって伺いました」と凜とした声で言う。
「ホウジョウ・マコトの所在を確認、及び記録情報の詳細を」
これにファミリアスは生唾を飲み込む。咄嗟に「どなたでしょうか」としらを切ろうとするもツバサは電子タブレットを持ち出すとEⅨで戦闘しているウェウラー……ブシ・センゴク機の画像を提示した。
「ではこの機体のパイロットをお教えください。我々の情報では刀を持つファクターに搭乗しているパイロットはブシ・センゴクとなっています。しかし、情報ではホウジョウ・マコト……ブシ・センゴクは戦死扱いとされています。これが何を示しているかは分かりますか?」
ツバサの口調にファミリアスは口を噤む。するとツバサは「咎めるためにここに来たのではありません」と電子タブレットを下ろした。
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