ありがとうの言葉

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ある日、授業中に彼が消しゴムを落としてしまった。 私は目に端に映ったから、当然のように拾ってあげた。 「落としたよ」 私は小声でそう彼に教えながら手渡しした。 だけども、彼はちょっと会釈をしただけですぐに黒板にの方を向いてしまったんだ。 まあ、授業中だしそんなに声を出すわけにもいかない。 何か大切なものを忘れていると思ったけれど、すぐに忘れてしまった。 それからというものの、彼について分かった気がする。 先生やクラスメイトに言われることについては、しっかり話していた。 彼から話かけることも色々あったように思うんだ。 人付き合いが苦手でもなく、決して口下手でもないようだ。 だけども、私については何か話してくれただろうか。 彼から感謝の言葉を告げてもらったことは全くなかった。 会話してても、なんだか素っ気ない感じがするんだ。 ……これは、なにか嫌われたんだろうか。 私のそそっかしさが悪影響を及している、と思うに違いないんだ。
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