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乗ってきた船が逗留するわずか三日、我慢すればよいことじゃないか。
八卦でも「直感は疑うように」とでていたでていたくせに、どうもいけない。
どこか浮き足立っていた、浮かれていた心持ちでいたようだ。
ええい、どうにかなるであろうと行き当たりばったりで決めるなど、浅はかなことを。
悶々と考える私をよそに、男はてきぱきと箱膳に湯呑み、それから乾いた饅頭や黄ばんだ懐紙に包まれた薄荷糖などが見栄えを考えず適当に放り投げておいたような菓子盆を片付け、「じゃあ、ごゆっくり」と一言添えて、部屋を出て行った。
また、しんと静かになる。
遠くから聞こえるチャカチャカ、カチャカチャという音がさらに、この部屋が持つ静かさや、暗さを引き立ててしまう。
ああ、明日はどうしようかと私は低い天井を見上げ、魚のせいでいまだ生臭いため息を吐くと、寸足らずな浴衣の裾からはみ出した足をぼりぼりと掻く。
たたみが古いようで、毛羽立っており、どうも先ほどからちくちく、かさかさとこそばゆい。眠れるであろうか、と私は漬け物と同じようにぺらぺらと薄く、背中が痛みそうな布団を見やる。たたんだら、座布団にでもなりそうなほど薄い。日干しをして、湿気をとればそれでも温いかもしれないが、そんなようにも見えはしなかった。
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