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 今の私には末香くさい布団と、行灯のあかりしかない、静かな離れの部屋が似合いであるかもしれない。  明け方に腹が減ったら、どこかへ朝飯でも食いに行けばよい。  書物によれば、この国に住む人々はみな早起きであり、夜が明けぬ前から起きだして田畑を耕し、魚をとり、それぞれの持つ生業に精を出すという。  日が暮れてから動き出す生業を主とする者もいるようではあるが、とてもじゃないが遊ぶ気にもなれない。  なにしろ、膳に出た魚のせいで口の中がまだ、苦々しく生臭い腸のにおいで満ちており、そこへ船旅の疲れもあいまって、身体は泥のように重くなっていた。  枕から、じゃらじゃら、かさかさと小さい虫が動くような音がする。  何かいるのか、両手でまさぐってはみたものの、正体がわからない。  もしや、「そういうもの」なのだろうか。  トランクがかさばるとはいえ、使い慣れた枕を持ってくればよかった。  そうだ、先ほど膳に箸をつけていたときに敷いていた、座布団がある。あれを折りたためば、少しはましだろうか。  考えあぐねながらも、私は枕を布団の外へと追いやり、座布団をふたつに折りたたんで頭をのせてみる。  なかなか悪くないが、これもやはり末香くさい。
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