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二人目。ホテルにて
ホテルの客室にひっそりと設置された私。ホテルの従業員も清掃員も誰も気づかない。一人を除いては。
今日泊まりに来た男女。男は20代後半、女は20代前半。若いカップルか?
「いいのゆずきちゃん?彼氏いるんでしょ?なのに……」
男がゆずきと言う女に問う。
「いいんです……。彼、盗撮癖があって……」
どうやらゆずきと言う女の彼氏は盗撮癖があるらしい。
盗撮なら警察に訴えればと男が言うと、ゆずきは彼が撮るのは私だけでそれは私の事が好き過ぎるからだと言う。
「でも……、たまには息抜きしないと、彼が見てないところで羽を伸ばしたい。それに……」
ゆずきは男に抱きつき唇を重ねた。
私は閉じることのない眼で二人の交わりを眺める。
今の持ち主の手にわたりついてからというもの、彼女、ゆずきの着替えや裸を見る回数が格段と増えた。
持ち主が私の見た映像をどう思っているのかはわからないが、ゆずきを見ていたいと言うことは伝わる。
二人は事を終え裸でベッドに横になる。
ゆずきは疲れたのかすやすやと寝息を立て寝始めた。
男はゆずきがねたのを確認すると、スマートフォンを取り出し誰かにかける。
「もしもし、あー、オッケーオッケーゆずきは気づかなかったよ」ちらりと私のほうを見る。
「つかお前、とんでもない性癖だな」快活に笑い、約束通り俺にもコピーして渡せよじゃあなと言い電話を終える。
男は再度横になり目をつむった。
二人が部屋を出てしばらく、清掃員である持ち主がやってき私の所へくる。
私はそこで目の前が真っ暗になった。
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