現実と記憶

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タッタッタ 「おはよう母さん…」 「おはよう(なお)()」 スウッ ここは普通の一般家庭。父親はサラリーマンで母親は専業主婦をしている。 スウッ 「お兄ちゃん邪魔」 「ご…ごめん……」 スウッ 僕の名前は(れい)(しよう)()(なお)()。 この春から高校生である。 僕に邪魔だと言って来たのは2歳下の妹寧()()で中学2年生だ。 「行ってきます」 ガチャ パタン 朝食を食べていつものように学校へ行く… しかし、僕には記憶がある…自分はかつて魔王だったと…… 信頼してくれる部下もたくさん居て、特に魔女のセレーナのことは鮮明に覚えている… とても美しく素敵な女性で……悲しくも自分を守って命を落とした… もう1人は優秀なブレーンだった…けれど自分が彼を傷付け…自分を守って命を落とした… 2人も大切な者を失くし…自分は負けると分かっていたが…戦わざる負えなかったのである。 「………魔王か……はあ……」 この記憶…… 嘘じゃない…… 妄想でもない…… 2人が散って逝った後…… 白魔導士と戦って傷を負い、動けないまま勇者により止めを刺されて絶命した… 「痛かった…………っ…」 覚えてる… 胸を貫かれて……血を吐き……崩れ落ち…… 倒れた所を更に貫かれた… 「………前世……の記憶……」 スウッ 「何をブツブツ独り言を言ってるのよ尚斗…」 「()()()………」 「いつもいつも……何を言ってるの…?」 「えっ……と……美苛瑠はさ…前世って信じる?」 「前世……?」 「うん……僕は…実は魔王だったんだ…」 「はあ!?」 「勇者に倒されて死んじゃったんだ…痛かったよ…」 「……アニメの見過ぎ…マンガの読み過ぎじゃないの…」 「………そうかな…鮮明に覚えているのに?」 「えっ………」 「………変な事を言ったね…ごめん…学校に行こう」 「う…うん……」 尚斗は歩いて18分程の所に通う高校があるので、徒歩で通学している。 信じる筈もない…魔王だなんて…非現実じみていて… 僕も最初は漫画の読み過ぎとか思ったくらいだ…
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