推しメン。

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それから俺は司と小松さんの3人でぷてミニのライブやイベントに参加するようになった。最初は俺に合わせていただけの司も俺と同じようにいつのまにかぷてミニのファンになっていた。そして運命の日がきたー 「良樹、しっかりしろよ」 隣で司が励ましてくる。 「わ、わかってるよ。」 俺は若干の興奮状態で胸がドキドキしていた。 「悔いが残らないようにな。」 小松さんはそう言って俺の肩をたたいた。そして小松さんと司は、他のメンバーのレーンに並ぶためにそのまま俺の所を去っていった。並んでいる間も俺の心臓はドキドキしていて体の全てに落ち着きがなかった。 (落ち着け…とりあえず、練習した通りにやるんだ。いつも応援してます。大好きだって) 俺はそう心の中で言い聞かせて胸に手を当てて深呼吸をした。でもやっぱり落ち着かない。まるで体全体が振動を起こしているようだった。止まらないソワソワした気持ちをなんとか抑えようとしているうちに俺の番が来た。俺は急いで前に出た。そしておそるおそる下げていた目線を前にうつすと、そこには俺の推しメン、りなちゅんがいた。 「こんにちは」 りなちゅんがそう言って手を差し出してきた。俺は慌ててりなちゅんの手を握った。 (うわ!近くで見るとマジで可愛い!声もやっぱり可愛い。) 生のりなちゅんを近くでみられた俺は照れくさくてすぐに目線を下に下げてしまい、りなちゅんの顔をまともに見ることが出来なかった。 「あ、あ、い、いつも応援してます!大好きです!」 緊張のため思いっきり棒読みで早口だった。するとりなちゅんは飛び切りの笑顔で 「ありがとう!」 と言った。俺はそんな可憐なりなちゅんの笑顔に感激したが、すぐに時間がきて俺の番は終わった。 (しまった。せっかく握手券、ゲットして並んだのに…緊張していたせいで手の感触忘れちゃった…) 俺はりなちゅんとの握手を堪能できなかったことを後悔した。でも、それでも俺は満足だった。推しメンのりなちゅんが近くにいて自分に笑顔を向けてくれた。それだけで俺は幸せになれるような気がした。そして思った。彼女の無邪気なひまわりのような笑顔がいつまでも続きますようにと…
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