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第2話 目覚めると…
(肌触り◎の毛布をずっと被っていたい…)
そう思っていたから、目覚ましが鳴っていても止めなかった。
いや、実際には止めれなかった。
(ふわぁ…眠っ…昨日のドラマで夜更かししちゃったからかなぁ…)
目を擦りながら、起きると私は知らない所にいた。
「は…?ここどこ…?」
そりゃ、目覚めた場所が知らない場所だとこうなるわ。
でも、私はこの場所に見覚えがあった。
というか知っていた。
それでも、こう言ってしまうぐらい現実を受け入れれなかった。
だって、そこは…
推しの“ペット”の部屋だったからだ。
むーくんには飼い犬(トイプードル/白)がいて、名前はみるくちゃん(♀)。
私の名前、来美に似ているなぁと少し共通点があって嬉しさを覚えつつも…
みるくちゃんはむーくんとずっと一緒に居られて羨ましさも感じていた。
しかも、さっきの一言で私は全てを察した。
なんと日本語が喋れていない。
※外国語も喋れていません。
そう、要するに私は推しのペットになったということだ。
「いやいや…待て待て待て…昨夜のリップ音のせいで変な夢見てるぞ…(通訳:いやいや…いいぞいいぞ…昨夜のリップ音最高万歳。もっとこの夢よ続け。)」
変なんかじゃない。
最高だ。これが夢ならば…。
(でも、そろそろ起きないと仕事に遅刻しそうだなぁ…目覚めるか…)
本当はずっとこのまま夢の中で生きたかったが、現実もあるんだ。
ここは我慢して起きるしかない。
そう思い、頬を抓ってみた。
自分の手で平手打ちもしてみた。
だが、全然目が覚めない。
自分の睡眠の深さは樹海の森なのだろうか…
くだらないことを考えている暇はない。
早く、起きなくては…と焦り始めて私はうろちょろした。
「おはよぉ、みるく」
え…?この声って…
聞き覚えのある声に私は胸の高まりが抑えられなかった。
「ワンワンワンッ!(意味:むーくんだぁぁぁ)」
「あははっ!みるくは朝から元気だねぇ〜」
彼はまだ眠い目を擦りながら、明るく微笑んだ。
あぁ、微笑んだ顔もお美しい。
でも、私の言葉は届かないのだろう…
そう考えると少し悲しかったが、生で推しが見れただけでもう嬉しすぎる。
それにしても、むーくんは意外にも明るい性格なのかもしれない。
画面の裏側が見れた気がして私は得した気分になった。
「キャンっ!! (意味:好きだよぉぉぉ)」
「あ〜、お腹空いたよね!今からご飯作るから待ってて〜」
え、むーくんの手作り料理って最高。
いや、そうじゃなくて…
私、ドックフード食うの?
ってか、私お腹空いたなんて一言も言ってないんだけど。
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