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第6話 私と私
え…なんで…
私がいるの…?
待って待って…こういうのってさ…
自分はいなくない?え、何?
私、二重人格だった的な?
そういう感じ?
それともドッペルゲンガーが私の家に不法侵入したんか?
いや、それはカオスすぎる。
とりあえず、入れる場所無いかな…?
私はキョロキョロと当たりを見回した。
「あらっ!なんでここに可愛いわんちゃんが…?」
その声は…!
ハッと私は気付き、見返すと…
毎朝、玄関を掃除している隣のおばぁちゃんの声だった。
「キャゥ~…」
私はわざと弱く鳴き、私のペットであることを伝えようとした。
「もしかして…来美ちゃんのペットかしら?」
おばぁちゃん、超能力者ですか…?なんで、犬の気持ち分かるのよ。
大体、ここペット禁止ですけど…
まぁ、そんなことはいいんだ!
私は「そう!ここのペット!」という目でおばぁちゃんを見返す。
「分かったわっ!来美ちゃんに怒られて家出しちゃったんでしょ?ここは古いからここに穴があるのよ!ここからこっそり入って、後で来美ちゃんに謝りなさいよ?」
おばぁちゃんは隠し通路を教えてくれて、人の家にペットを侵入させようとした。
「キャン!(ありがとう)」
そう言って、私はおばぁちゃんをぺろぺろ舐めてから隠し通路に入った(犬っぽくしただけですからね?)
✄---------------自分の家へ---------------✄
忍者ってこんな気持ちだったのかなぁ…
音を出したら気付かれちゃうだろうと思い、私はこっそりこっそり忍び足で歩く。
多分、私は小さいから音さえ出さなければ視界に入ることは無いと思う。
慎重に歩いていくと、見慣れたリビングが見えた。
窓から見た私(仮)は、今寝室にこもって寝ているのだろう。
そこにはいなくて、安心した私はとりあえずスマホを探し始めた。
スマホ、どこだろう…スマホさえあれば、まだ犬として生活出来る…
出来れば、むーくんのグッズも持っていきたいけれどすぐにバレちゃいそうだから我慢しとこう…
(もしかして…寝室かも…)
そんな考えが私の脳裏に浮かんだ。
そうだ…むーくんのドラマ観て、寝室に行って、ツネッターで呟いて、ポスターに話かけて、寝たんだわ。
やばい…扉、開いてるか確認すると開いていた。
これは良いのか悪いのか悩みどころだ。
(一か八か行けぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!)
私は思い切って、部屋に入る。
私(仮)は寝てて、気付いていない。
私はベットではなく、床で寝るため幸いにスマホは床に置きっぱなしだった。
(あと、数十cm…)
音を立てずに、ゆっくりゆっくり…
よしっ!スマホのところまでは行けたぞ…
あとは、これを運ぶだけ…
私はなるべく唾液が付かないように注意しながらスマホを咥え始める。
「ズゥゥ」
スマホを咥えうとしたけれども、引きづってしまった。
だって、重いんだもんっっ!!
あぁ…バレた…私の人生終わりだ…
私はこのまま不法侵入で殺処分でもされるのか…
と、諦めかけたその時。
「ンンッ…もしかして、貴方が来美さん?」
この声は、私の大嫌いな声。
そう、自分の声だった。
「ワンッ(そうだけど)」
「あははっ笑やっぱり?私、みるく。よろしくね」
「ワンワン(何で話せるの…?)」
「それはさっき言った通り、転生前はみるく。そう、むーくんのペットだったからよ」
待てよ?ってことは、転生したんじゃなくて…みるくちゃんと入れ替わったってことぉぉぉ!?
新しい発見に驚く私に対してみるくちゃんは
「ねぇ!私、戻りたいのよ…毎日仕事三昧なのは嫌っ!協力しない…?」
協力かぁ…むーくんと離れるのは悲しいけれども…私達の関係はファンと芸能人。
だから、仕方ないのかなぁ…
「チョイ、ワンゴ、ショウリャク(分かった。協力しよう!)」
「話が早くて助かるわ!」
とりあえず、みるくちゃんは良い人(?)みたいだねっ!
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