綺麗だね

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綺麗だね

俺は、さくらの前に座る さくらもソファーから降りて 俺に視線を合わせるように床に座り直した 「ビックリした 川田さん(彼女の名字)の彼氏が 健太郎だなんて…思いもしなかった」 俺だって驚いている 李奈(彼女の名前)の同僚が さくらだなんて… 「同じ会社なの?」 さくらは頷く 「私は、転職組だから 同僚と言っても 川田さんの後輩になるんどけどね 彼女、面倒見が良いでしょ 色々教えてもらってる」 「いつから?」 「去年の秋から… 年上で新人だから 扱いづらいだろうにね 良い子だよね 川田さん」 そう言って さくらは李奈の眠る寝室の戸を見た 李奈 姉御肌みたいなところがあって 良い子だもんな 俺は、少し嬉しくて 口元がほころぶ 「嬉しそう 彼女を誉められたから?」 俺は、口元を隠すように手をあてる さくらは そんな俺を見て クスクスと笑い 「良かった 幸せそうで」 そう言って 烏龍茶を飲んだ その表情は 悲しそうにも見えて 気になってしまう でも、ここで聞くのは… どうしてた? 今、幸せ? どちらの問いも 今の状況で聞けば 良からぬ方向へ行きそうで いや 考え過ぎかも 別に 普通に友達同士でも 久しぶりに会ったら聞くよ 現状を… 何で躊躇うんだ…俺 その方が不自然 「どうしたの?」 さくらはこちらを見ている 俺は、まだ うだうだ考えていて さくらは不思議そうな顔をする 「いや、どうなのかなって…最近」 すると、さくらは微笑んで 「幸せだよ 安心して大丈夫」 妙に早口で先回りをするような答え 特に"大丈夫"だという時は 大丈夫じゃないよな 深追いするな 深読みするな 俺は、李奈の眠る寝室の戸を見ながら 心を落ち着かせる 「どうしたの?」 さくらの呼び掛けに 振り向く 視界に入った彼女は 少し酔っているせいか 頬がほんのりピンク色になっていて 目が潤み キラキラしている さくらは やっぱり綺麗だ 一瞬、見とれた自分がいた あの頃、あんなに好きだったのに 最後に会ったときより もっと 綺麗に見えてしまうのは なぜなんだろう?
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