新世紀 陰陽師の事件簿

先生の秘密

　　　　　　　　　　　＊

「どうぞ。朱崋特性のコーヒーだよ。これを飲めばきっと元気が出る。そう想いを込めたから」

　朱崋は、お店のテーブル席に座る茜の前にコーヒーと焼き菓子を置く。

　様子のおかしかった茜を心配し、茜自身が落ち着ける場所と云っていた、妖妖模型に朱崋が招いたのであった。

　朱崋は自分のコーヒーもテーブルに置き、対面の椅子に座る。

「ありがとう」

「私がアドバイスできる立場じゃないけど、誰かに話すだけでも楽になると思うから。愚痴になってもいいから話してみて」

「うん」

　茜が持ち上げるコーヒーカップの中は、小刻みに波紋が広がっている。

　やっとの思いで口に流し込んだコーヒーは、ゴクリと音を響かせた。