先生の秘密

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「ちょっと! 何してるんですかっ。早まっては駄目です!」  女性は、なりふり構わず、男性にタックルするような勢いで、歩道橋の手摺の上から引き摺り下ろす。 「あ痛た、た。ちょっとやり過ぎたかも。大丈夫ですか?」  男の視線は、茫然と空へ向けられ、死んだ魚の目のようだ。 「あれ? もしかして、優樹さん?」  女性は、男の顔を覗き込んだ。 「そうだよね、優樹さんだ。どうしてこんなところに……」  男は何も答えない。しゃべる気力さえもない状態だった。  なんとかして、男を立ち上がらせ、近くの喫茶店へ移動した。
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