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ガラガラと黒板側の教室の扉が開く。担任の、白樺茜先生が入ってきた。
彼女は教師歴八年、ハキハキしていて、清楚で可愛さのある美人顔だ。
少し天然なところもあるが、そのギャップが親しみを生んでいる。私が信頼できる先生の一人なのだ。
「おはよう御座います。皆さん席に着いて下さい。さっ、入ってきて」
茜先生は、開いたままの扉へと視線を送り、小さく手招きをする。
いつもとは違う光景に、私は先生の手の先を辿る。教室の外に誰かいるようだ。
壁に隠れて見えなかった人物が、スッと教室に右足を覗かせた。
そのまま、堂々とした佇まいで、しっかりと前を向いたまま、教室の中央まで歩いてきた。
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