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この時期に転校生? 高三にしては少しおぼこさが残る、可愛い系の美男子だ。
スラッとしている体格は、背の高さが華奢に見せている。
きっとスポーツは苦手だろう。神高に入学出来るということは、ガリ勉君かな。
他人を見て勝手に妄想してしまう、私の癖である。
「今日から皆さんと一緒に勉強することになる山之上小太郎さんです。一年と言う短い期間ですが、皆さん仲良くしてくださいね」
茜先生は、自己紹介するよう転校生を促した。
「どうも、山之上小太郎です。言おうと思っていたことを先生が全部言ってしまったので、以上です」
何て適当な挨拶。苦手なタイプだわ。面白いことが起きる兆しかと思ったけど……取り越し苦労ね。
「先生、しっぽ……出てますよ」
「へ? あ、やだぁ」
丈の短い桜色をしたテーラードジャケットの裾から、白いブラウスの裾が三角形に覗いている。
茜先生は、ほんのり紅潮させた頬を震わせ、そそくさと、フレアスカートの中に裾を入れた。
ふふ、茜先生かわいい。頭の中で思わず呟く。
「金城さん、嬉しそうね。山之上さんには隣の席に座ってもらいます。色々教えてあげてくださいね」
「え? あ、はい」
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