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頭のうしろで両手を組み、椅子の背凭れへ体重をかける。あぁ、山之上って何か胡散臭いんだよなぁ。
何か隠してるって言うか……うしろ二本の足でバランスを取り椅子を傾ける。
何て言うか……。
当てはまる言葉を、頭の中で探りながら天井を見上げた。
「金城さん」
突然、顔を覗き込まれ名前を呼ばれる。私は驚いてバランスを崩した。当然のことながら、椅子ごと後ろへ勢い良く倒れてしまう。
「あぁ、脅かしてしまい、すみません。大丈夫ですか?」
そう言って優しく声をかけてきた人物は、生徒会長の九条君だった。
「だ、大丈夫、大丈夫」
私は起き上がり、倒れた椅子を戻す。
「で、何?」
「実は、ここぞと言う時に頼りになる、金城さんにしか出来ないお願いがあって……」
相変わらず頼み方が上手である。ヘタレだった彼が、生徒会長にまで成長した由縁であろう。
彼の人生を変える、何かが有ったんだろうな。私は心の中で思う。
「お願いって何?」
「金城さんが良く一緒にいる、山之上小太郎くんのことで……」
私はその晩、九条君の頼みが頭から離れず、なかなか眠れなかった。
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