孤独な生徒会長

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 次の日、山之上が登校してくるのを見計らい、偶然を装い近づくことにした。  昨日、九条君から頼まれたのは、山之上について何でもいいから聞き出すこと。  あいつとは一ヶ月一緒にいるが、確かにあいつのことを何も知らない。なんか聞きにくいのよね。  それにしても、昨日の九条君、ちょっと怖かったな。いうことを聞かないと、何だか身の危険を感じるような……。  私たちの教室は、五階建て校舎の三階にある。四階へと上がる階段の手摺に身を隠し、待ち伏せすることにした。  手摺から顔を半分出し、下を覗き込んでいると、二階から階段を登ってくる山之上が見えた。  階段を登り切り三階の廊下を教室に向かって進む山之上を確認し、私は偶然を装い声を掛ける。 「おはよ、山之上」  山之上は立ち止まり、私のほうへ振り向く。 「やあ、おはよう。君から挨拶してくれるなんて珍しいね。やっと僕をクラスメイトだと認めてくれたのかな」  ウザ! こういうところがウザイんだよね。それ以外は結構いけてるんだけどなぁ。
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