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「あのぉ……山之上って前はどこの高校に通ってたの?」
彼の眉尻が、私の視界の中で一瞬だけ動いたように見えた。腕を組み顎を軽く摘まむ。
出た! いつもの考え事する時の姿勢だ。
「何故……そんなことを聞くの、いずなが」
「え、別にいいじゃない。ちょっと知りたくなったの」
「誰かに頼まれたんだね」
な、なんて勘が鋭いの! まだ一つ目しか質問してないのに……。
「いや、私個人の興味よ。誰にも頼まれてないし」
「君は嘘をついている。知ってるかい、人間は嘘をつくと色が変わるんだ」
「色?」
「そう、心の色がね」
「心の……色」
どうしてだろう、山之上の瞳から視線が外せない。彼の瞳の奥に宇宙が見える。
数多の星に重なって、無数の星雲が、水彩画のように滲み広がっている。どうしてか、吸い込まれそう。
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