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 春は好き。また新しいあの子に会えるから。  千年前の名前も覚えているし、千年先の名前はもう決めてある。  これまでずっと僕はあの子のことが好きだったし、これからずっと僕はあの子のことを好きになる。  綺麗に咲いた年も、花が欠けている年も、咲くことができなかった年も、変わらず好きでいる。  話はできない。それでいいとは思わないけど、いつか話してみたいけど、今は一緒に春を迎えられるだけで幸せ。  でも、ときどき羨ましくなる。  僕の唯一の親友は、花の言葉がわかるから。  彼は百年に一度しか咲かない花を愛している。  待っている間の彼は本当に寂しそうで退屈そうで、魂が抜けてしまったような日々を過ごしているように見える。  けれど、あの白い花と言葉を交わしているときの彼は、この世界で一番の幸せ者に見える。  それがときどき、とてもかわいそうだけれど、どうしてか羨ましく思える。  僕は、こんなに幸せなのに。
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